コホート分析について

コホート分析とは

コホート分析とは、「時間の経過に伴うユーザーの行動の変化」を可視化するための分析手法であり、下のキャプチャのようなチャートを利用することが一般的です。

初回接触ではコンバージョンしにくいECサイトなどで、初回接触からコンバージョン(購入)までに何日(何週間)かかっているか?を分かりやすく表示させることができます。また、SNSサイトでコホート分析を使うと、ユーザーの定着率を把握することができ、 「会員登録後XX日以内の退会率が高いので、それまでの間は獲得ユーザーのフォローを強化する必要がある」 といったインサイトを得ることができるようになります。

さらに、コホートのセグメント(縦軸)を日別や週別・月別といった時系列の項目にすれば、「あるタイミング(=何らかのサイト改修を行ったタイミング)から、ユーザーの定着率が大きく改善した」といったインサイトを得ることもできます。加えて、このセグメント(縦軸)を時間軸ではなく、初回接触の流入経路情報にすることで、 「このキャンペーンはCPAは高かったが、ユーザーの定着率が高く、総合的に見ると高いパフォーマンスとなっている」 というインサイトを得ることもできます。

コホートを作る方法

Googleアナリティクスでもコホート分析用のレポートがベータ版という形で提供されており、コホートセグメント(縦軸)が時間軸のみであれば、Googleアナリティクスの管理画面から利用することが可能です。また、2016年4月にリリースされたGoogle Analytics Core Reporting API v4を利用すると、時系列によるコホートだけでなく、初回接触の参照元、メディア、キャンペーンごとのコホートを作成することも可能になります。

また、Googleアナリティクス以外であっても、一手間かかりますが、Excelなどの元データからピポットテーブルなどを駆使してコホート図を作成することが可能です。実際上記のキャプチャは、Googleスプレッドシートを利用して作成したコホート図になります。例えば、「携帯電話の契約解除状況」をコホート図にしたい場合は、各契約者ごとの新規契約日と解約日のExcelテーブルを準備し、それらからピポットテーブルを組み、幾つかの数式を追加することでコホートが作成可能です。

実際のコホート例

概要

今回は、Twitter APIを利用して、日次で特定のTwitterアカウントのフォロワーデータを取得するプログラムを作成しました。このプログラムを3月末からずっと稼動させているため、手元には約4か月分の該当Twitterアカウント(7アカウントが対象)のフォロワーデータがあり、このフォロワーデータを利用することで、ユーザーごとに該当アカウントに対するフォロー日とフォロー解除日(または現在フォロー中か)を生成することができます。つまり、Twitterのフォロワーデータをもとに、フォロワーの定着率をコホート図により表現することができます。

では、下記で7アカウント中3アカウントのコホート図を見ていきたいと思います。また、生成されたコホートから得られそうなインサイトについても考えていきましょう。

例1

フォロワー数12,000前後でウェブマーケティング関連のメディアを持っているアカウントのコホート図となります。

コホート図(日別)

コホート図(週別)

コホートから分かること

まず、週別コホートの縦軸「獲得数」を見ていくと、20週から大きく増えており、22週は700以上の新規フォロワー獲得を行っています。メディア記事がバズったとしても5週間連続でフォロワーが増え続けることは少ないと考えられますので、このタイミングで「Twitter広告を利用してフォロワーを増やした」のではないかと考えています。

次に横軸を見ていきます。13〜15週目は、2週間目から3週間目のタイミングで大きく継続率が下がっているように見かけられます。また4週間目以降は滑らかに減っており、大きな減衰ポイントはなさそうです。となると、フォロワーをいかに3週間維持させられるかが重要になってきます。では、Twitter広告を実施していたと思われる20週〜24週における2週間目から3週間目のタイミングでの減衰率を見てみると、どれも80%以上の継続率を維持しており、80%を下回った週はありません。また始めの週である20週は88%と非常に高い数値をなっています。

例2

フォロワー数22,000前後でちょっとマニアックなコンシューマー向けサービスを行っているアカウントのコホート図になります。

コホート図(日別)

コホート図(週別)

コホートから分かること

まず、日別コホートの縦軸「獲得数」を見ていくと、4月から5月上旬において継続的に多くのフォロワーを獲得していますが、5月10日以降はフォロワーの獲得数が大きく落ち込んでいます。5月10日以降はフォロワー獲得数が1桁台の日も多く、1件も獲得できていない日が4日間存在します。とはいえ、5月31日や6月1日のように、大きく増えている日もあり、これらはTwitter広告以外の外部メディア(または通常ツイート)によるものと考えられます。

次に週別コホートの横軸を見ていきます。1つ目の例では、3週間のフォロワー継続率が80%前後だったのに対し、このアカウントでは3週間のフォロワー継続率はほとんどが90%を超えており高い継続率を維持していると言えます。さらにこの維持率は5週間前後まで続いているため驚異的な継続率と言えると思います。またTwitter広告でフォロワーを増やしていたと考えられる13週〜18週の継続率と19週目以降で比較しても、Twitter広告の期間のフォロワー継続率は高いものとなっており、非常に良いターゲット層にリーチできていると言えます。

通常のフォロワー獲得用のTwitter広告では、「広告上のフォローボタンを押したかどうか」を成果指標としてみますが、これは場合によっては「一度フォローしたがすぐに解除したユーザー」も「獲得」として評価されてしまいます。結果としてターゲティング設定によっては「獲得単価は低く抑えることができたが、数週間でいなくなってしまった」という事態が発生する可能性が十分にあります。そのような事態を避けるためにも、各キャンペーンごとなどで「XX週間フォロー維持に対する獲得単価」のような指標を見れる状態を構築しておくことがお勧めです。

例3

3番目の例は、フォロワー数68,000前後の有名ブロガーのアカウントのコホートになります。例1や例2と比べると規模の大きなアカウントでのデータです。

コホート図(日別)

コホート図(週別)

コホートから分かること

まず、日別コホートの縦軸「獲得数」を見ていくと、1日あたり平均100以上のフォロワーを獲得しているように見えます。5月23日のフォロワー獲得数並びに、該当週のフォロワー獲得数が異常なくらい多くなっていますが、データを確認したところどうやら、5月22日のデータが正常に取得できておらず結果として5月23日のデータに異常が出たようでした。このくらいの規模のアカウントの調査を行うのであれば、事前にデータ取得処理に問題が発生しないか念入りに検討しておく必要がありそうです。以降、この日・この週の数値は無視して話を進めます。

次に週別コホートの横軸を見ていきます。こちらも3週間のフォロワー継続率は80%前後となっています。さらに1つ目の例・2つ目の例でも3週目以降はフォロワー継続率はほぼ一定値となっており大きな下落はなかったのですが、3つ目の例では8週目時点ではさらにフォロワー継続率が落ちており75%前後となっており、さらに10週が経過すると継続率は70%くらいにまで落ちて行っているようです。

まとめ

今回はウェブサイト以外の情報を使ってコホートを作成し、得られたコホートから分かることについて言及してみました。コホート分析はウェブ以外の領域でも利用することができる分析手法になります。また、(時系列)コホート・チャートでは、

  1. 縦軸の実数値を見ていくことで新規獲得数の伸び方
  2. 縦軸の各パーセントを見ていくことで、維持率の変化
  3. 横軸の各パーセントを見ていくことで、離脱率の高いタイミング

を知ることにつながります。さらにこれらのうち、2つ目と3つ目はコホート・チャートを見なければ気づくことが難しい指標になります。

まずはウェブサイト以外の場面にも目を向けて、コホート・チャートによる分析が使えそうな領域を探してみてはどうでしょうか。