背景

2019年7月時点のOSシェアは、Windowsが約88%であるのに対して、Macは約9%となっています。シェアで見ると、ほとんどがWindowsですが、実際にWindowsを使っている人の中には「本当はMacを使いたいが、諸事情によりWindowsを利用している」という人は少なからずいると思います。実際、法人利用の場では、「情報システム部門の都合によりWindowsを利用している」「Windowsの場合、値引きなどの融通が効くので、基本的にWindowsを利用」としている会社が多いです。

Mac端末を使いたいが、諸事情によりWindows端末を利用している人たちの属性の1つに、広告運用者がいます。広告運用者の方が普段使っているソフトウェアの中に「Yahooプロモーション広告用のキャンペーン・エディター」があります。このキャンペーン・エディターは、不運なことにWindows用アプリケーションしかローンチされておらず、Mac用アプリケーションが提供されていません。広告運用者にとって「Yahooプロモーション広告のキャンペーン・エディター」が利用できないことは致命的です。

そのような理由で広告運用者は、キャンペーンエディターを使うためにWindowsの利用が強いられています。自分自身は5年くらいの間、メインマシンをMacで過ごしており、必要な時のみWindows OSを利用できる環境を整えています。同様に、メインをMacマシンで利用し、必要な時のみWindows OSを使いたい、となった時どのような選択肢が考えられるかと、その中で私が利用を続けているAWSのクラウドサービスの1つである「Workspaces」について紹介したいと思います。

Windows on Macは現実的か

Macデバイスを利用しながら、Windows OSを利用するには、多くの場合は「仮想環境」を利用するか、「Bootcamp」を利用するかの2パターンがよくある選択肢として出てきます。まずはこの2つの選択肢を考えたいと思います。

「仮想環境」とは

仮想環境とは、OS上で別のOSを起動するための仕組みのことを指します。今回の話の流れでは、Mac OSを起動しながら、その中のアプリケーションの1つとしてWindows OSを起動することを指します。WindowsとMacを両方開きながら、操作することができるので、OSの切り替えが手軽にできる一方で1マシンで複数のOSを起動することになるので、マシンのスペックが重要になります。

Macマシンで仮想環境を利用するには、「VirtualBox」または「Parallels Desktop」というアプリケーションを利用することが一般的です。Parallels Desktopの方が多機能で軽量に作られている一方で、Parallels Desktopは有料ソフトになっています。その一方でVirtualBoxは無料ソフトウェアとなっています。

「Bootcamp」とは

Bootcampとは、マシンの電源を起動するときに、インストールされている複数のOSのどれを起動するかを選択する方式を指します。OSそのものを起動時に指定するので、マシンスペックをフルに利用することができる一方で、OSを切り替えたい時は、マシンを再起動する必要があり、同時に操作することはできません。

Yahooのキャンペーンエディターを使いたくなった時に、Mac OSをシャットダウンして、Windows OSで起動し直して、キャンペーン・エディターでの作業を行い、それが終わったら再度Windows OSをシャットダウンしてMac OSを起動する、といったフローは手間がかかってしまうため、ほとんどの場合、Bootcamp方式で始めたとしても、知らないうちにMac OSを起動せずにずっとWindows OSを使っている、という事態に陥りやすい選択肢です。

第3の選択肢、リモートデスクトップ

「リモートデスクトップ」とは、自身のMacマシン以外の場所に、別の端末を準備し、手元のマシンから別の場所にあるOSに接続して利用する方法を指します。仮想環境やBootcampと比較すると、高いマシンスペックも要求されず、またOSの切り替えもスムーズに行うことができます。

しかしながら、リモートデスクトップを利用するには、接続先のマシンを別途準備する必要があります。Windowsマシンの準備も必要となると、費用的な問題が出てきます。この解決策としては、接続先のマシンを購入するのではなく、クラウド上のマシンに接続する方法が考えられます。

リモートデスクトップを利用するために使うことができるクラウドサービスとして、

などがあります。しかしながら、接続先のマシンでWindowsを動かすことを考えると、ある程度のスペックは必要になり、費用としては、8,000〜12,000円/月といった金額が固定で必要になってしまい、気軽に利用するのはちょっと気が引けてしまいます。

ベストな選択肢、AWSのWorkspaces

AWS(Amazon Web Service)には、クラウド上に構築されたWindowsマシンに接続して利用することができるサービスである「Workspaces」があります。仕組みは「リモートデスクトップ」とほとんど同じです。しかしながら、先に挙げた「さくらのVPS for Windows Serverm」「お名前.com デスクトップクラウド for Biz」と違って、利用時間に応じた課金となっています。これは、メイン利用はMac OSで、キャンペーン・エディターのためにWindows OSを利用するような人にとっては最適な選択肢と言えます。

2vCPU、メモリ7.5GB、ディスク50GBのWindowsマシンを使う場合、月額の固定費用として14ドルと、1時間あたり0.74ドルが請求されます。スペックを少しあげて、4vCPU、メモリ16GB、ディスク50GBのWindowsマシン出会っても、月額の固定費用が14ドルと、1時間あたり0.89ドルとなっています。自分の場合は、月の利用時間は10時間程度で、メモリ7.5GBのマシンを利用しているので、20ドル程度(1ドル120円換算で、2,400円程度)となります。

さらに、Workspacesの場合、AWSから割り当てられた固定IPアドレスを利用することができます。企業としての利用の場合、固定IPアドレスを利用したいケースが出てきます。特に、クライアント企業の開発中のWebサイトにアクセスするようなときに、固定IPアドレスが必要になることがあります。Workspacesでは固定IPアドレスを利用することもできるので、そのようなケースでも便利なサービスです。

また、利用しているマシンスペックが不足している、と感じた時はAWSの管理画面を通じてマシンスペックを変更することも容易にできます。

Workspacesの始め方

AWSのアカウント作成と課金設定

AWSのアカウント作成方法については、他のサイトでも多数紹介されているので、本ブログでは詳細は割愛し、参考になるサイトを紹介するところまでにとどめたいと思います。おそらく、下記のページを参考にアカウントを作成すれば、戸惑うところはなく、進められるかと思います。

Workspacesのマシン作成

Workspacesのマシンを作成する時に、「Simple AD」や「Directory Service」など聞きなれない用語が出て来るかもしれません。本ブログでは詳細の説明は割愛しますが、

を参考に設定を進めれば、問題なくWorkspacesのマシンを作成できると思います。途中の「バンドル」を選択する部分で上の記事では、「Standard with Windows 10」を指定していますが、無料利用の対象ではあるもののマシンスペックに不安があると思いますので、有料にはなりますが、もう少し上のスペックのマシン(メモリ7.5GiB以上)を選択すると良いと思います。

マシンの作成完了には20分ほどかかるようなので、作成後はしばらく待つ必要があります。

マシンへのログイン方法

マシンへのログインには、専用のアプリケーションを利用します。専用アプリケーションは、Mac用だけでなく、Windows、Android、iOS、Chromebook、Fire Tabletのそれぞれのバージョンが提供されており、様々なOSから接続することができます。

Workspacesに接続するためのアプリケーションは、Amazon WorkSpaces Client Downloadからダウンロードすることができます。インストールしたソフトウェアを起動したあとは、以下のような流れでログインを進めます。なお、登録コードは、Workspacesのアカウントを作成するときに入力したメールアドレス宛にメールで送られます。

ログインに成功すると、マシンの起動が始まります。マシンの起動には2〜3分ほどかかるので、ここは気軽に待つ必要があります。

作成したマシンの初期設定

作成したマシンは、最初の起動時点で、キーボード配列が英語キーボードになっています。普段から英語キーボードを使っている人であればそのままで問題ありませんが、多くの方は日本語キーボードに変更するのが良いでしょう。日本語キーボードへの変更は、

に分かりやすくまとまっているので、こちらを参考にしましょう。

初期設定が終われば、あとは普通のWindowsマシンとして利用することができます。もちろん、念願のYahooプロモーション広告のキャンペーン・エディターをインストールして利用することもできます。もし、キャンペーン・エディターのインストール時にエラーが出る場合は、インストーラーの起動時に「管理者として実行」するオプションを試してみてください。

まとめ

今回は、手元のMacマシンからWindowsマシンを利用するための方法として一般的な「仮想環境」や「Bootcamp」「リモートデスクトップ」として、AWSのクラウドサービスである「WorkSpaces」を紹介しました。

広告の運用に携わる人にとって、Windowsマシンは仕事上必須ではありますが、Macの方が使い慣れているので、どちらも利用したい、というケースでは「WorkSpaces」は良い選択肢になると思います。

今まで、Yahooキャンペーン・エディターのためだけにMacを利用するのを諦めていた人は、本記事を参考にWorkSpacesを利用してみてはいかがでしょうか。