GTMの利用状況の推移

今回のデータに含めている2016年5月以降、Googleタグマネージャの導入率は一貫して下がることなく上昇を続けてきました。特に、2016年5月の導入率は10%を切る状況、つまり10サイトに1サイト程度しか導入されていない状況でした。そのような状況から一変して、2019年12月時点ではその導入率は実に35%を超える状況、つまり3サイトに1サイト以上が導入されていることになっています。

調査対象にしているコーポレートサイトの中には会社紹介など形式的な情報を掲載しているのみで、Webマーケティングに力を入れていないサイトも多数存在する中で、4年足らずでここまで成長したことに驚きです。

複数個のGTMを設置しているサイトの推移

複数個のGTMを設置しているサイトについてもこの4年間で大きく増えました。2016年5月は、GTM導入サイト数340のうち、複数個のGTMを設置していたサイトは僅か10サイトのみで、およそ3%程度でした。これが2019年12月は、GTM導入サイト数1,048のうち、複数個のGTMを設置していたサイトは108件にも上り、その割合は10.3%となりました。単純にタグマネージャの導入率が上がったことで、複数のタグマネージャを設置しているサイトが増えただけでなく、その割合自体も大きく伸びました。Googleタグマネージャの利用が進んだ結果、1つのGoogleタグマネージャだけでは管理しきれなくなったサイトが多くなったものと思われます。

GTMから配信しているタグ数

本件については、過去のデータを保持していないので、本記事の執筆当時のデータを参照することになります。過去44ヶ月の調査で手に入れた1,341件のGoogleタグマネージャ・アカウントに登録されている「タグの数」「変数の数」を調査しました。

その調査データを散布図にプロットすると、以下のようになります。

右下に位置するGoogleタグマネージャは、タグがたくさん登録されているわりに、変数がほとんど登録されていないタグマネージャの設定状態であることを意味します。逆に、左上に位置しているものは変数がたくさん登録されているのに対してタグの数が少ない状態のタグマネージャであることを意味します。

今までの経験上、変数が少ないにも関わらず、タグが多数登録されているコンテナ(つまり、右下に位置するコンテナ)は、メンテナンスコストが高く、タグの実装ミスなどが多発することが多い です。上のグラフで一番右下に位置するGTMコンテナは、タグの数が1,179個あるにも関わらず、変数はわずか63個しか登録されていません。それに比べ、左上の方に位置するGTMコンテナの場合、タグの数が100個以下であるにも関わらず、変数が400個以上設定されています。「変数をうまく使って、類似するタグを排除する」ことが実現できているとこのようにタグの数を減らしていくことができるようになります。

左下の部分がごちゃっとしているので、この部分をズームインしてみました。

まだまだ左下がごちゃっとしていますが、タグ・変数共に20個程度の規模のサイトなので、一旦無視してそれ以外のところをみていきたいと思います。このようにしてみると、変数の数は少なく、タグの数がどんどん増えているサイトが多いことが分かります。変数の数には、有効化されているビルトイン変数もカウントされているので、カスタムで作成している変数はここで表示されているより、さらに少ない数と言えます。

Tableauの機能を使って引いてみた傾向線によると、変数の数の約2倍の数に当たるタグが登録されているようです。

このように、多くのWebサイトでは、変数を有効活用することができず、タグの数がどんどん増えていっている状況であることが、このようなデータで確認することができます。変数を有効活用して、Googleタグマネージャーをメンテナンスしやすくする方法については後々このブログで紹介したいと思います。

なお、ここで用いているデータは、GoogleタグマネージャのコンテナをJavaScriptで読み込む際に使っているスクリプトファイル(gtm.js)をプログラムで処理し、そのコンテナの中で用いられているであろうタグの数、変数の数をカウントすることで生成しています。

まとめ

今回は、今まで本ブログで3年以上に渡って公開してきた上場企業のGoogleタグマネージャ導入状況のデータを使って44ヶ月間の振り返りを行いました。この44ヶ月衰退することなく成長を続けてきたGoogleタグマネージャです。私見ではそろそろ、しっかり設計されていないGoogleタグマネージャで変更・更新を頻繁に行っているコンテナが破綻してくるのではないかと考えています。破綻したコンテナをリカバーする方法などはまだこの業界で知見が貯まっていない未知の領域になると考えられます。

これを解決するためには、タグマネージャを操る人の技術的知見をさらに蓄えていく必要があると考えれるでしょう。