書籍「徹底活用 Googleアナリティクス」について

サブタイトルまで含めた書籍名は「徹底活用 Google アナリティクス デジタルマーケティングを成功に導く解析・改善のための操作ガイド」となっています。NRIネットコム株式会社に所属する4名の方によって書かれたGoogleアナリティクスの本で、2019年10月23日に発売されました。そのページボリュームは、付録を合わせて500ページにも上り、Googleアナリティクスについての情報を全て網羅しようとしている意気込みが感じられます。AmazonではKindle版と単行本版が売られていますが、単行本で購入すべき本と言えます。

Amazonで購入する際は、下記のリンクから購入することが可能です。

徹底活用 Google アナリティクス デジタルマーケティングを成功に導く解析・改善のための操作ガイド

本書評についての前置き

本書評の中では、辛口な評価や批判的なコメント、ネガティブな表現をしている部分が多々あると思いますが、この本が「良くない本である」とは一切思っていません。むしろ、最近のGoogleアナリティクスの本の中で一番読み応えのあったものになっていると思います。とはいえ、良い部分だけを褒めちぎっても本ブログの方針に背いてしまうので、敢えて辛口な評価や批判的なコメント、ネガティブな表現をしている点があることにご留意ください。

書評

Chapter 1, 2, 3

Chapter1で述べられているアカウント・プロパティ・ビューの構成についての考え方が書かれている点がとても良かったと思います。通常よく発生するシチュエーションにおいて、プロパティとビューの切り分け方について詳しく書かれています。実際、多くの人はプロパティとビューのどっちで切り分けるかでどのように数値の出方に差が出てくるかを正確に理解できている人はほとんどいないと思います。欲を言えば、もう少し様々なパターンについて記載してあると良いな、と思うものの、この点について記載されているだけでも、本書を購入する価値はあると思います。

Chapter 4, 5, 6, 7

Chapter1でGoogleアナリティクスのアカウント構成について触れられていたのと同様に、Chapter5ではGoogleタグマネージャのアカウント構成について触れられています。よくあるユースケースにおいて、取り得るパターンに対してそれぞれのメリットとデメリットが記載されているため、実戦でもすぐに活用できる内容になっています。

一方で、

  • 「Googleアナリティクス設定」変数の使い方
  • イベントパラメーターに「Page URL」を利用している点
  • dataLayer変数の「eventCategory」「eventAction」「eventLabel」などを利用したイベントトラッキング

の3点には疑問を持ちました。順に自身の見解を書いていきたいと思います。

まず、「Googleアナリティクス設定変数の使い方」についてです。本書では、「ページビュー」と「イベント」でそれぞれGoogleアナリティクス設定変数を作成しているようです。しかし、本来は1つのプロパティに対して、1つのGoogleアナリティクス設定変数を作成し利用するのが定石だと思います。むしろ、「ページビュー」か「イベント」かで設定変数を切り替えなければいけないケースが思い浮かびませんでした。

次に、「イベントトラッキングのパラメーターでPage URLを利用している」点です。あまり大したことではないので、スルーでも良いと思います。が、Page URLで取得可能な値は「ページ」ディメンションを利用すれば、レポートフェーズで困ることもないと思います。むしろ、イベント系のパラメーターの中に入れてしまうと、URLクエリパラメーターによる値の分散も発生してしまい、かつGoogleアナリティクスのビュー設定で解決することができないので、自身はこのような設定は推奨していません。

最後に、「イベントトラッキングのパラメーターを、dataLayer変数のeventCategoryなどを利用している」点です。もちろん、実装通りに動作させることは可能です。しかし、これをやってしまうと、本来のGoogleタグマネージャの目的の1つである「Webサイトのソースコード」と「マーケティング用のソースコード」の分離ができなくなってしまいます。そのようなこともあり、自分自身ではこのような設計を行うことは基本的に行わないようにしています。とはいえ、このような実装が多くの場所で行われていることも、Googleタグマネージャ側の設定が単純になる(複雑な部分はJavaScript側の実装)ことも理解しているので、致し方ないところはあると思います。

Chapter 8, 9, 10

Chapter8と9では、商品データやユーザーデータのデータインポート機能についても触れられています。この辺りについて触れられている情報はとても少ないので、データインポート機能を使いたい人は参考にすると良いでしょう。

Chapter10では、参照元/メディア系の仕様について挙げられています。しかしながら、このチャプターについては、様々なブログ・セミナーなどでよく語られている範囲に限られているため、中級者以上の方からすれば物足りなさを感じてしまうかもしれません。

Chapter 11, 12, 13, 14

Chapter11はGoogleアナリティクス内のカスタムレポートの話、Chapter12はデータポータルを使ったレポートの話となっています。この辺りは特筆すべき点は特になかったかな、と思います。

Chapter13ではGoogleオプティマイズを使ったA/Bテストの話です。アンチフリッカースニペットの話が詳しく書かれて良いと思った一方で、アクティベーション・イベントについてはほとんど触れられていませんでした。アクティベーション・イベントを利用するべき頻度がどのくらいあるのか、が分からないので省略している点についても納得できますが。

Chapter14では、Google広告とGoogleアナリティクスを連携したリマーケティングについての話です。ここも基本的な内容がまとまっている一方で、「Google広告のタグを使ったリマーケティングと、Googleアナリティクスを使ったリマーケティングの違い」について触れられているともっと良いな、と感じました。

Chapter 15, 16, 17, 18

Chapter15ではコンバージョンの改善にポイントを絞った応用編といった印象です。「コンテンツグループを定義した上で行動フローレポートを使う」については自身も色々なところで実践していますが、そのところをしっかり触れている点は好印象です。また、データポータルを使った「サンプルフロー・レポート」についてはとても参考になりました。ただ、これをみながら昔似たようなものを作ったのを思い出しましたが、これを作ろうとすると、アドバンスセグメントを大量に作る必要が出てくるので、その管理をどうするべきか悩みそうです。

Chapter16ではSearch Consoleについてのコンテンツです。Googleアナリティクスの書籍でSearch Consoleについても触れられている本は少ないと思いますが、基本的な内容に止まっているので、知識補強というイメージで使うのが良いでしょう。

Chapter17は、Googleオプティマイズを使ったパーソナライズについて書かれています。自身は最近はGoogleオプティマイズはほとんど利用していないのですが、このチャプターの10ページちょっとを見ただけで様々なアップデートが行われていたことを知ることができました。特に、パーソナライゼーションページを表示した時に、Googleアナリティクスに非インタラクションヒットを送信することができるようになっている点は勉強になりました。

Chapter18では4つの例を元に、「Webサイトで発生する問題を検知する」方法について記載されています。この辺りの内容はアイディア勝負のところもあると思いますが、どれも良い内容だと思いました。既に実施しているものもいくつかありましたが、そうでないものについてはすぐに取り入れられるようにしたいと思います。

Appendix 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7

Appendix1はユーザー管理についての話です。ユーザー管理の話というと、多くの人が知っている内容と思われますが、ここでは「組織」「ユーザーグループ」についても触れられている点が新しいです。特に大企業がGoogleアナリティクスを使うとなった時、誰がどの権限を持つかをしっかり定義し、その定義通りに運用しなければいけない、という問題が発生します。この問題をスマートに解決するのがこの数年の間にローンチされた「ユーザーグループ」機能ですが、この機能を有効活用できている会社は多くないので、この機会に「ユーザーグループ」機能の認知が広まると良いと思いました。

Appendix2はAMPの計測についてですが、AMPについては網羅されているというより基礎知識という範囲に止まっています。おそらく、本格的にAMP Analyticsの実装を行う場合は、この書籍の内容を知った上で、公式のドキュメントなどをしっかりと読み込む必要があります。

Appendix3以降にも色々な情報が満載ですが、ここであえて記載する必要もない内容だと思うので、以降は割愛としたいと思います。

まとめ

最初に記載したように、辛口な評価や批判的なコメント、ネガティブな表現をしている部分が多々あったかと思いますが、大変満足のできる本になっていました。ただし、初心者向けには書かれていないと思いますので、完全な初心者の方はこの本をとるのではなく、初心者向けの本で一通りの知識をつけた上で本書を手に取るのが良いと思います。また、Googleアナリティクスを2〜3年ほど使っていて、基本的な知識を既に有している方は、1つ上の知識をつけるためにも是非本書を手に取っていただけると良いと思います。