注:2015年4月のリリースにより、GoogleアナリティクスのWeb画面から関連商品が利用可能になりました。(2015年5月2日追記)
みなさん、GoogleアナリティクスでEコマース機能を利用しているアカウントに「関連商品」という新機能が追加されたことをご存知ですか?知っている方は相当なGoogleアナリティクス好きかもしれません。
実はこの機能、半年以上前にリリースされているものの、レポートを見るには通常のGoogleアナリティクスの画面ではなく、API経由(もしくは、Query Explorer経由)でしか見ることができない機能となっています。
さらに、この機能の存在を知っていても、ググってもググってもなかなか情報は出てきません。そんな「関連商品」機能について、解説していきたいと思います。
関連商品機能とは?
関連商品機能とは、Eコマースを有効にしているアカウントでのみ利用可能な機能で、Amazonなどの ECサイトにある「この商品を買っている人は、あの商品も買っていますよ」といった分析・レコメンドをすることができる機能です。
この機能を手軽に利用するためのレポートはまだ準備されていないようですが、Google Analytics Core Reporting APIであったり、Google Analytics Query Explorerを使って試すことが可能になります。手軽に実行してみるのであれば、Google Analytics Query Explorerがオススメです。もし、ECサイト上のナビゲーションなどに関連商品を表示させたりする必要がある場合でも、Google Analytics Core Reporting APIを使うことで、常に最新の関連商品を取得することが可能になります(実装上は、APIの呼び出しに時間がかかることと、余程トランザクションの多いサイトでない限り、頻繁に関連商品が変わることは考えられないので、日次や週次のバッチなどで事前にデータを保持しておくことをオススメします)。
ECサイトなどにレコメンドエンジンを組み込む場合は、
- レコメンドの計算に使われている統計アルゴリズムを勉強し, 自前で実装する
- 外部のASPサービスを契約し, (毎月ASP利用料を支払って)利用させてもらう
という選択肢を取る必要があったのですが, Googleアナリティクスが関連商品機能を実装したことで, 今までと比べ容易にレコメンドエンジンを組み込めるようになったと言えます(とはいえ、レコメンドの精度は、自前で実装したケースや外部のASPサービスを利用したケースと比べ、現時点では劣るでしょう)。
関連商品機能で使われるディメンションとメトリクス
関連商品機能では、 Aという商品を買った人はBという商品も買っています というレポートを作成することが目的の機能です。
新しく追加されたディメンションとメトリクスは上記を表現するために使われるものになります。
ディメンション
ディメンションは、大きく分けると 商品A と 商品B それぞれの商品ID、商品名、商品の種類を表すディメンションと、類似度の計算に使われた統計モデルのID(correlationModelId)があります。類似度計算に使われたモデルは現時点では「defaults」の1種類しかないようですが、今後のGoogleアナリティクスの拡張次第で増えていくものと見られます。
- ga:queryProductId
- ga:queryProductName
- ga:queryProductVariation
- ga:relatedProductId
- ga:relatedProductName
- ga:relatedProductVariation
- ga:correlationModelId
メトリクス
メトリクスには、商品Aと商品Bの類似度を表す相関スコア(correlationScore)と、商品Aと商品Bの購入数量を表す項目があります。相関スコアについては定義自体は難しいのですが、この値が1に近ずくほど、より精度の高い結果であることを表しています。
- ga:correlationScore
- ga:queryProductQuantity
- ga:relatedProductQuantity
実際のデータを確認してみましょう
実際のデータを確認するには、
- Google Analytics Collection API
- Google Analytics Query Explorer
のどちらかを利用する必要があります。ここでは、利用が簡単なGoogle Analytics Query Explorerを利用してデータを確認する方法を紹介します。
Query Explorerのページにアクセスする
Query Explorerとは、Google AnalyticsのAPIへのアクセスを容易にしてくれるサービスです。Query Explorerには、https://ga-dev-tools.appspot.com/explorer/のURLからアクセスすることができます。
アクセス後はGoogleへの認証が必要になります。Query Explorerにアクセス後、画面上部のオレンジ色の帯の部分「Click here to authorize」と書かれている箇所をクリックして、認証を行います。認証には、Googleアナリティクスを利用しているアカウントでログインし、認証を承認します。
検索条件の指定と取得
認証後は、Query Explorerのページのフォームを埋めていきます。アカウント、プロパティ、ビュー、ディメンション、メトリクス、開始日、終了日、データの最大数あたりを指定します。指定内容は、
項目 | 設定値 |
---|---|
Account(アカウント) | Eコマースを設定しているサイトのGoogleアナリティクスアカウント |
Property(プロパティ) | 上で指定したアカウントに紐づくプロパティの中でEコマースを設定しているプロパティ |
View(ビュー) | 上で指定したプロパティに紐づくビューの中で、実際にデータを見たいビュー(要Eコマース設定) |
dimensions(ディメンション) | 今回の関連商品レポートの場合は、コンボボックスの下の方にある Related Products の中にある項目を選択します。ga:correlationModelId,ga:queryProductId,ga:relatedProductId,ga:queryProductName,ga:relatedProductNameを選択するといいと思います |
metrics(メトリクス) | 今回の関連商品レポートの場合は、コンボボックスの下の方にある Related Products の中にある項目を選択します。ga:correlationScore,ga:queryProductQuantity,ga:relatedProductQuantityの3つを選択するのがいいと思います |
start-date(開始日) | データを閲覧する期間の開始日を指定します |
end-date(終了日) | データを閲覧する期間の終了日を指定します |
max-results(データの最大数) | 関連商品の場合、データ量が多くなることが想定されますので、デフォルトの数字ではなくもっと大きな数字にしておきます。最大10,000まで指定可能です |
他には、必要に応じて、セグメント分割やフィルタを指定したり、並び替えを行ってください。
指定が終わったら、「Get Data」ボタンをクリックすると、裏でGoogle Analytics APIが呼び出され、しばらくすると、指定した条件に沿ったデータが下に表示されます。データは画面上で見るだけでなく、TSV形式でダウンロードすることも可能です。TSV形式は普段見慣れないかもしれませんが、そのままExcelで開くことができる形式になっているのでExcelで開きましょう。
データの見方
取得したデータの列の中で重要な列は、 ga:queryProductId と ga:relatedProductId 、そして ga:correlationScore になります。この3つの情報で、商品Aと商品Bの関連度合いを表現しています。ga:queryProductNameなどの列はその商品に付随する情報になります(商品IDよりも商品名で見たほうがわかりやすい場合は、商品名を使ってもいいでしょう)。
ga:correlationScoreは、前述したように商品の関連度合いを示しており、この値が1に近づくほど、関連性の高い商品(一緒に購入する割合が多い商品のペア)と言え、0に近づくほど無関係な商品(一緒に購入する割合が少ない商品のペア)と言えます。
一般のブログサイト・ニュースサイトもEコマース対応?
「自分はEコマースサイトを運用していないから、関連商品は関係無い」と思った方はいらっしゃいませんか?Eコマースとは関係のないブログサイトにおいても、各記事詳細ページを商品と見立てて、ページの読了(スクロールが◯◯%以上、など)でその商品のトランザクション発生、といった形でEコマースと見立てたGoogleアナリティクスの実装ができるかもしれません。ブログサイトをEコマースとして見立てて実装することで、GoogleアナリティクスのEコマース向けの強力な分析レポートをブログサイト・ニュースサイトにも応用することができ、関連商品機能の利用にも繋がるかもしれません。